短編小説 『集団ストーカー アユムの生活』

私の名はアユム。今から皆さんに私の身に起きた出来事を説明しようと思う。
あれはそう、5月の梅雨入ったばかりのことだった。

人生をどん底に落とす転換は、肩に降る初雪の様に突如来た!
大手証券会社で働いていた私は、職場で大きなミスをしてしまった。

その日は上司にこっぴどく叱責された。仕事の帰り道に、見知らぬ男がすれ違いざまに私に囁いた。
「お前の人生は終わりだ」
その男は、歪んだ笑みを残し立ち去った。

全てはそこから始まった。
翌日から、会社で壮絶な組織的いじめが始まった。今思えば、あのミスも仕組まれたものだったのかもしれない。
私はストレスに耐えられず、体調を崩し自主退職してしまった。
(この体調不良でさえテクノロジー兵器で仕組まれていたことは、後で分かった。)

退職後、私に対する本格的な工作が始まった。
最初の異変は、強烈な光だった。夜中にコンビニへ向かう道を歩いていると、マスクと白いイヤホンをした不審な人間がペンライトを持ってランニングしていた。コンビニの駐車場に辿り着き、停車している車に視線を向けて、私はぎょっとした。

黒塗りの車が4台ほどずらりと並んでいた。そのナンバーを見ると
1台は、私の住むマンションの暗証番号だった。
1台は、私の銀行の暗証番号だった。
1台は、666ナンバーだった。

そして、その横には私が所有する車と全く同じタイプの車が止めてあった。
その車のナンバーは、私の生年月日だった。

コンビニに入ると、さらに異変を感じた。
いつもの女性店員ではないガタイのいい男がマスクをして、店員をしていた。
そして、店のカウンターには何故かゴルゴ13のフィギュアが置いてあった。
(ここは実話)

私が酒とつまみを買いレジに並んでいると、私の後ろに不審なカップルが並び咳き込んだ後に話し始めた。
♂「いやぁ、俺昨日会社でミスしちゃってさ、上司にしこたま怒られちまったよ。」
♀「しっかりしてよ、あなたももういい年なんだから」

もしかして、私のことか…? 
そう思い、振り返るとどう見ても仕事をしていなさそうなチャラ男がへらへら笑いながらこちらを見ていた。隣の女は少しそわそわしていた。私は会計を済ませ、そそくさとコンビニを出た。コンビニを出ると、何やら警官が集まっていた。
どうやら喧嘩があったらしい。だが、今はそんなことはどうでも良かった。私は逃げる様にマンションへ戻る道を歩いた。

帰宅途中、再びペンライトを持ってランニングしている不審者が通り過ぎた。そして、救急車のサイレンの音が聞こえた。
マンションが近づくと、狭い小道に不審な車が停車していた。マンションの暗証番号を入力していると、先ほどの出来事を思い出した。エレベータに乗り込むと、中にマスクとコンビニのレシートが不自然に落ちていた。

部屋に戻ると異変を感じた。何か、家に出る前と異なる違和感を感じた。くまなく調べるとソファの位置がずらされ、部屋のコンセントに隙間が開けられていた。
私は盗聴器が仕掛けられているのではないかと疑い、翌日高い金を払い探偵を雇って調査させたが何も見つからなかった。
(後ほど、電子機器のハッキングと電波だけで盗聴が出来ることを知った。)

何かがおかしい。まるで、世にも奇妙な物語の主人公になった様だ。
出かけるたびに現れるマスクをした人間と、不審な車、個人情報のほのめかし、家宅侵入、一体何が目的なのだろうか。
今の私は失業保険をもらって生活しており、時間はたっぷりある。
私は自分の身に起きている現象が何か、パソコンを使い調べることにした。

そして、2週間がたった頃…。

この犯罪は、『集団ストーカー』と呼ばれていたのか! 
私はパソコンの前で驚愕し立ち上がり、勢いあまりイスを倒してしまった。
その後、数秒ほど思慮に耽った後、椅子を元に戻し座りなおした。

窓の外は雨、TVは退屈なバラエティが流れている。私はパソコンの記事に集中するために、TVのスイッチを切った。雨音だけが静かに聞こえた。私は必死になって、自分の身に起きている出来事を調べた。

毎日起きる不審な出来事、不審者たち、家宅侵入に器物破損、体の異常、自分と全く同じ目に会っている人が日本中にいると知り素直に驚きを隠せなかった。私は、むさぼるように自分と同じ犯罪に巻き込まれている人たちのブログの情報を読み漁った。

翌日の朝、肉体に異変を感じた。なんと! 腕の筋肉がひとりでにピクピク動き始めたのである。病院で検査したが、何も異常はないと医者に言われた。その夜は性器と肛門に対しても持続的な電気刺激が加えられ、強制的なドライオーガズムを繰り返し強制させられた。その日から、猛烈な体のだるさに襲われるようになった。

「これが、テクノロジー犯罪という奴か!」
徐々にわかり始めた。と同時に絶望が全身を覆った。

部屋の外では、被害が始まってから開始された工事の音が続いている。
体調が悪い中、ソファで横になっていると不意に救急車のサイレン音が聞こえた。
空気を入れ替えようと窓を開けると、ヘリコプターが上空を通り抜けた。

私は、インターネット上で知り合ったベテラン被害者に初めて電話をかけた。
「よくあることよ。気にしないで。誰もが体験しているわ。」
ベテランの被害者の声に、私は少し安心した。

「そう、救急車のサイレン、終わらない工事、ヘリコプターの音、電磁波攻撃、私も毎日受けているの。この苦しみは体験した人しかわからないけれど大丈夫。あなたは1人ではないわ。こんど集団ストーカー被害者が集まるイベントがあるのだけどあなたもどう?」

突然の提案に私は心の準備ができておらず、その日は予定があって出られないと答えてしまった。
私は、もっと早く他の被害者ともあっておけばよかったと今は後悔している。

繰り返される非道な連中による組織的な付きまというと精神破壊工作の中、私の世界を見る目がすっかり変わってしまった。

人々が過ごしている平和な日常は、薄皮に描かれたまやかしだ。
その下には残酷な現実の仕組みが横たわっている。私はこの犯罪の被害にあい、薄皮の剥がれた世界を生身のままグロテスクにも見なくてはならない状況に追い込まれた。だが、この経験はこの世界のシステムを知るのに無駄にはならなかった。

どんなに醜悪であれど真実を知る事は大切だ。私は絵空事の綺麗な幻想よりも、たとえグロテスクであっても真実を知る事を望む。今は全てを知りたい、何故このような犯罪が存在するのか…私は、好奇心だけは旺盛だった。

この犯罪が基本は死ぬまで終わらないこと、よほどのことをしない限り急に殺されることは無いということも複数の被害者のブログを読み理解した。テクノロジー兵器による被害は、日に日に強まる一方だった。ある日、昔の趣味を再開して気分転換しようと油絵具を市内に買いに行くことにした。車は維持費がかかるため売却したので、JRで市内に向かった。

駅のベンチに座っていると、向かいのホームから堂々とビデオカメラでこちらを撮影してくる例のマスクをした不審者がいる。
だが、撮影されたとして困ることは無いし、どうせ顔を隠しても盗撮をしてくるので無視をしていた。この前などは、バスに乗っている時にシャッター音が後方から聞こえた。見知らぬ女がにやにやした顔で、スマホをこちらに向けていた。こういったことはしょっちゅうだった。

電車の中で椅子に座っていると、隣に頭のおかしい人間が座ってきた。
急にカバンから袋入りのインスタントラーメンを取り出すと、粉を振りかけてバリバリ食べ始めた。(実話)
うっとうしいので席を変えて、眠っていると頭部に違和感を感じた。
振り返るとマスクをした不審な男が後頭部に黒い装置をかざしていた。(実話)

この連中は一体何なのだろう。先ほどから肉体に振動と心臓の痛みを感じる。
どこにいっても、この痛みはついてくる。また、下半身への遠隔レイプも続いた。
油絵具を買いそろえ、帰宅したころには心労でくたくただった。とても絵を描く気にはなれなかった。

ソファで横になっていると、隣の部屋の男が大音量でTVを見始めた。
最初の頃は、殺意さえ抱いてTVの音量を下げる様に注意をしに行ったが聞く耳を持たない。
世界はすっかり狂っちまった。どっからこういう連中を見つけ出してくるのだろう。

私は心を閉ざし、眠りに入ろうとするがテクノロジー兵器による攻撃で眠れない。
仕方がないので外出すると、ペンライトを持ってランニングする不審者、マスクをして尾行する不審者、不審な車、ほのめかしや唾を吐きながら通り過ぎていく連中に出会う。前回とは違う遠いコンビニに向かっていると、突如大雨が降ってきた。

私はずぶぬれになりながら、近くの公園のベンチに座った。

「ははは、ついに世の中はおかしくなってしまった。」
雨の中、ベンチに座り天を仰いだ。
私はこれからどうなるのだろう。生きて行けるのだろうか?
生きている意味はあるのだろうか?

濡れた犬が、ベンチの下から出て来た。その体は確かに温かかった。私は、食事を与えようとしたがその犬は去ってしまった。
人間ではないあの犬は、私に敵意を抱かなかった。この雨や空、木々もそうだ。

何故、すれ違う見知らぬ人間は私を憎むのだろう?
この私のことを何も知らないのに、迫害する事が可能なのだろう?
目の前に広がる自然が、私の心を救った。

こんな時代に生まれて来るべきではなかった。
世界は確かに劣化している。

体の冷えを急に感じて私は立ち上がり、家路へ戻る。
その途中も、傘を差しマスクをした不審者が続々と現れた。

こういう生き物と考え割り切ろう…そう呟き、歩き続けた。
救急車のサイレンが聞こえる。通りすがりの親父が鼻をすすり唾をはく。
そして、頭部や内臓、性器への電磁波兵器の攻撃。
いつもの光景だ。私はもう慣れてしまった。

マンションの周りには、新しい5Gアンテナが3つ設置されていた。
このアンテナが被害と関係しているかは、わからなかったがいい気分はしなかった。

家の家具は、必要なものを除き全部売り払った。
空っぽの自分の部屋に座る。

自然は相変わらず美しい。
私の目の前に現れる見知らぬ他人は、相変わらず醜悪だ。
その対比が、妙に印象に残った。

このままではいけない。私はつぶれてしまう。
私はまた、ベテランの被害者に電話をかけた。
いつも通りに話を聞いてくれた。同じ被害にあっている仲間がいるというだけで、救われる思いがした。
この時間は、降りやまない黒い雨の様な日々の中、僅かに残された居場所だ。

それにしても、何故この人は私の様な人間の愚痴を聞いてくれるのだろう。
もちろん、私も随分と愚痴を聞かされてはいるが、とても優しい人だ。
他にも、複数の被害者と連絡を取ったけれど、中には気難しい人がたくさんいた。無理もない。この被害の中理性を保つのは難しい。いつでもどんな時でも話を聞いてくれるのは、この人だった。

ある日、私は被害者のイベントに再び誘われた。
勇気を出して出てみることにした。実際に、同じ犯罪の被害にあう人たちと会うのは初めてだった。あまりにも普通の人たちなので、拍子抜けしてしまった。

本音を言えば、頭がおかしくなった人が半数ぐらいいるかと思っていた。
みんなどうやって正気を保っているのだろう。素朴な疑問だった。

被害者の仲間たちと話している間も、西遊記の孫悟空の頭のリングの様に、ぎりぎりと額を締め付ける感覚が続いた。
だが、不思議と心は晴れやかだった。話をしていて、全く同じ被害内容であり驚いた。同じ連中がこの犯罪を行っているのは間違いなさそうだ。みんなの被害内容は同じなのに、それぞれが犯人だと考える勢力はてんでばらばらだった。

仲間たちと話している間だけ、黒い雨の様な苦しみが止んだ。この犯罪に負けることなく私と会ってくれたこの人たちは、黒い雨の様な苦しみから私を守る大きな傘の様だ。今度は私が、この雨に打たれる誰かの傘になりたい。

同じ苦しみを知る仲間たちは、私に優しい言葉を投げかけてくれた。
その残響が、空っぽの私の心にしみた。

イベントの帰り道、相変わらずの不審者に囲まれ工作されながらも、もう少しだけ生きてみようと思った。この犯罪に負けずに前向きに明るく生きている人たちが同じ日本に確かに存在していると知ってしまったから。この希望を消すことは出来ない。
黒い雨の様な苦しみは今だ降り続いている。だが、あの黒い雲の上には確かに太陽が存在しているとわかった。

止まない雨はない。例え私が生きている間は止まないとしても、いつか必ず止まるその日は来る。その時にそなえて、私は自分が今できることをしようと思う。
たった1つの言葉が、絶望の淵にいる人間の人生を救うことがある。私も誰かの傘になりたい。

そう思い空を見上げると、雲間から一筋の光が差し込んだ。
心地よい風の中、頬を伝う水滴を拭う。いつか見た犬がそばを通り抜けた。
私は急に走り出し、光に向かい走る犬を追いかけた。

「ぜぇ、ぜぇ。待ってくれ。」
その犬は、私が全力を出せば追いつけるぎりぎりの速度で走り続けた。

(完)



コメント:
即興で書いたため、当初考えていた作品とは全く別のモノになりました。
私は本来こういった即興で書くのが好きでした。書きながら、いい気分転換になりました。本ブログの方では、もっと大衆向けの分かりやすい作品にします♪


※この作品はフィクションです。ただ、私の身に起きた実話もちりばめています。
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筆者の被害ケース
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