短編小説『集団ストーカー ベテラン被害者ハッピーさんと仲間たち』

ベテランの集団ストーカー被害者のB子さんは、『ハッピー』というペンネームで集団ストーカーの周知活動をしています。ハッピーさんは、祖先が武士と庄屋であり、広い家と広大な土地、いくつかの不動産を受け継いでいます。土地の一部は、加害勢力の工作により失ないましたが、他の被害者に比べると生活に余裕があり、自宅の前の広大な畑と田んぼを使い、半自給自足の生活をしていました。

祖先代々の被害者で、生まれた時から被害を受けており、集団ストーカー犯罪については、誰よりも理解していました。ハッピーさんは、母と息子と娘、そして動物たちと暮らしています。集団ストーカー被害者であり生物学者でもあった父は、少し前に病気で亡くなりましたが、この犯罪と戦う熱い意志と、膨大な書籍をハッピーさんに残しました。

「ベテランの被害者ができることは、新しい被害者に居場所を作ること」
ハッピーさんは、父の死後そう思いたち、毎月第1、第3日曜日に、市内の中央図書館横の公園でイベントを開催しました。最初はあまり人が集まりませんでしたけど、回数を重ねるうちに徐々に人が集まる様になりました。イベントの内容は、第一日曜日が、被害者のお話会、資料や情報の交換です。その後に大抵、簡単なお食事をみんなで取り、美しい公園を散歩したり、美術館に行ったり、小さな気晴らしを行いました。第三日曜日は、ポスティングや街宣活動、講演会など周知活動を行いました。

今では、ハッピーさんの毎月のイベントは、被害者みんなのよりどころになっています。ハッピーさんは、今は使用していない自宅横の蔵を集団ストーカーに関する書籍を集めた資料庫にしており、中には割と大きな電磁波シールドルームが1つあります。ハッピーさんはこちらの蔵を第二、第四日曜日に開放しています。

ある日、ハッピーさんが第一日曜日に、中央図書館横のいつものベンチに来ると、いつものメンバーとは別に見知らぬ新しい2人の参加者がいました。サラリーマン風の男性と、若い女性でした。彼らはそれぞれ、「アユム」、「A子」と名乗りました。

実は2人とも、ネット上でハッピーさんとメールのやりとりをしており、直接会うのは今回が初めてでした。2人は笑顔で、ハッピーさんと握手した後にイベントは始まりました。イベントといっても、第一日曜日はみんなで、噴水の前のベンチに座って、お互いの近況をお菓子を食べながら話すというもので、この時間が多くの被害者にとって癒しの時間になりました。

アユムとA子は、それぞれ自己紹介した後、自分の被害内容を語りました。みんなはあっという間に打ち解けて、その後、公園でレジャーシートを広げてお食事をした後、それぞれいつもの仲良しグループに分かれて散会しました。

アユムとA子は、ハッピーさんの誘いにのって、ハッピーさんの家の蔵に行ってみることにしました。電車を使用すると、工作員が非常に多く現れるため、その日はタクシーでハッピーさんの家に行きました。ハッピーさんは、テクノロジー犯罪被害で自動車事故を誘発させられてからは、タクシーを多く利用しています。

タクシーの中で3人はおしゃべりをしていました。アユムとA子が共に最も悩んでいたのは、やはりテクノロジー犯罪でした。2人はハッピーさんの蔵に電磁波シールドルームがあると聞いて、うきうきしていました。

「テクノロジー兵器はね、軍事兵器だから市販のシールドルームでも完全には防げないの。それでも、やっぱり何もしないよりは断然楽よ。蔵の壁にも、電磁波遮断塗料を塗っているの。」

アユムが口を開いた。
「実はおれ、建築系の学校を出ていて、大工のバイト経験もあるんですよ。だから、ハッピーさんの電磁波シールドルームを参考にしてみんなが簡単に作れる電磁波シールドルームの設計図を描こうと思っています。」

A子が2人の話を笑顔で聴いていた。
「なら、私はアユムさんが作ったシールドルームの設計図を、マンガにして公開してあげる。被害者は大工仕事が苦手な女性が多いから、プラモデルを作る様に分かりやすく順を追って組み立てる漫画を公開したら、喜ばれると思うの。」

ハッピーさんはおどろいた。これは、強力な仲間が増えたとおもった。
「それはいいわね。他の被害者はみんな提案するばかりで行動が遅いけど、あなたたちは若いし、やる気も漲っているから大丈夫。ぜひ実現して頂戴。設計図や漫画が出来たら、ぜひネットで配信し、多くの人に伝えましょう。」

ハッピーさんはこの瞬間が好きだった。被害にあいながらも前向きな新人にあい、新たなエネルギーをもらい、自分は経験をもとにした知恵を与える。つくづく、毎月のイベントを始めてよかったと思った。

2人はハッピーさんの自宅につくと、縁側に腰を下ろし、庭を眺めながら小休憩した。空は天気で、風が気持ちよく、ずっとここにいたいと思った。その後、3人はハッピーさんの家の横にある蔵に入った。

中にはずらりと本だ名が並んでいた。
「電磁波シールドルームは2階にあるわ、階段が急だから気を付けてね。私は階段が大変だから、ここで待っているわ。ゆっくり見て来てね。」そういうとハッピーさんは、揺りイスに座り、近くの本を手にした。

アユムとA子が2階に上がると、広い空間が広がっていた。
そこには、大きな市販の電磁波シールドルームと、どうやら被害者がそれを真似て手作りで作ったと思われる、手作りの小さめのシールドルームがあった。2人はそれぞれのシールドルームに入った。

ハッピーさんのいうように、完全には被害は消えなかったけれど、それでもやはり大分楽になった。これが家に欲しい! というのが2人の正直な気持ちだった。アユムはハッピーさんの許可を得て、スマホで、2つのシールドルームの内と外を複数写真を撮った。A子も興味津々に、細部まで確認していた。

ハッピーさんによると、手作りのシールドルームは息子と元大工の被害者が作ってくれたようで、以前は自宅の部屋で使っていたそうだ。新しい電磁波シールドルームを息子が用意してくれたので、今は使っていないらしい。外見が真っ黒なのは、カーボン塗料を塗っているからと説明してくれた。そして、2つのシールドルームの内部に貼り付けてあったのは、防振素材といわれた。

「テクノロジー犯罪には、電磁波兵器と音響兵器が両方使われているの。電波と音波、どちらかを防ぐだけではなだめ。これは必ず覚えていてね。」

そういえば、あの中にいる時は、体が微振動する被害がとても弱くなっていたなと2人は思った。蔵の中には、サーモグラフィーや電磁波測定器もあった。貸してくれるというので、アユムは早速借りることにした。
「電磁波兵器の電波は暗号化した軍事兵器だから、市販の電磁波測定器で計測するのは難しいけれど、室内にある異常な電波を発する家電は見つけることが出来るわ。寝室から、電磁波を発生させる家電を取り除くだけで年間の電磁波被ばく量を抑えることが出来るの。これはすごく大切よ。」

ハッピーさんは、棚から2つの大きな袋を出した。
「これは何ですか?」
「集団ストーカーの学習教材。被害者が身に付けるべき知識が載った本を、いつも新人の被害者さんに貸し出しているの。読み終わったらちゃんと返してね。」

中には、テクノロジー犯罪に関する書籍や、認知行動療法に関する書籍、ストレスコントロールや人生に役立つ言葉の本、電磁波や音波に関する入門書まであった。洗脳や心理学に関する書籍が多いのが気になった。

「集団ストーカー被害者はね、大抵孤立させられた上で、洗脳されて認識の歪みが生まれ、社会の人たちと上手く付き合えなくなるの。なるべく被害の初期に、認知行動療法やストレスコントロールを身に付け、多くの被害者や世間の人たちと繋がるのが大切なの。」

2人は重たい袋を持って、ハッピーさん家の縁側に戻った。
「タクシーを呼んだは、もう少し待ってて。」
アユムとA子は冷たいお茶を飲みながら、色々話して連絡先を交換した。そして、アユムが電磁波シールドルームの設計図を描き、A子がそれを漫画にして紹介する規格を必ず成功させることを誓い合った。

「あなたたちを見ていると、希望が見えて来たわ。私が被害に負けずにこのイベントを毎月続けてこれたのも、あなたたちみたいな人にあえるからよ。」
ハッピーさんは2人の手を取った。
「これから、とてもつらい日常がまた始まるけど。負けないでね。私も頑張るから! アユムさんもA子さんも頑張って!」

タクシーが来た。後ろ髪をひかれる思いを感じながら、2人はハッピーさんに礼をいってタクシーで最寄りの駅に向かった。駅のホームにつくと、2人の家は反対方向なため、電車が来るまで少し話すことにした。

「おれ、毎月はむりだけど、なるべくこのイベントに来るよ。今日は、本当に久しぶりに、何も気にすることなくおしゃべりが出来てとても楽しかった。こんな気分は、本当に何か月ぶりだろうか…。」

「私も、やっと仲間にあえたって感じがする。やっぱり、ネット上でのやり取りとは違って、生で同じ被害にあっている人にあえてとても嬉しかった。そうそう、これアユムさんに上げる。」

アユムはA子から小さな袋をもらった。
「これは?」

「私が初めて書いた、集団ストーカーの周知漫画。よかったら読んでみて。」
「ありがとう。」

A子ははにかんだ。人から感謝されたのは、久しぶりでとても嬉しい。
その時、丁度電車が来た。

二人は少し寂しそうな顔をした後に、それぞれの電車が来るホームへ消えた。マスクをして、白いイヤホンをした不審な工作員がそれぞれの後についていく。

アユムは駅のホームのベンチに腰を下ろした。振り返ると、A子の載った電車は走り去った。後ろのベンチでは、不審な工作員がスマホを出して、アユムを観察していた。テクノロジー被害は朝からずっと受けていた。頭部、内臓、下半身へ。だけど、一人になった途端に急につらく感じた。

その時、アユムは膝に抱えた重い鞄を握りしめた。中には、ハッピーさんが貸してくれた書籍と、A子のマンガが入っていた。2人からもらった思いを抱きながら、アユムは電車を待った。アユムの待つ、電車は集団ストーカー被害者がよく合うように、人身事故に影響で遅れた。アユムは、テクノロジー犯罪で市民の誰かを操り、事故を誘発しているのではないかと疑った。

緊張の糸が切れて、ふっといつものつらい日常に戻された感じがした。自動販売機で飲み物を買ったあとに、カバンを開いてハッピーさんから借りた書籍をパラパラ読み始めた。すると、再び励まされ始めた。

「この繰り返しなんだろうな。地獄の様な日々と、一瞬の安らぎ。そして、再び地獄の様な日常へ。だけど、おれにも出来る事があるはずだ。おれが何かをすることで、一瞬でも安らぎがえられる人がいるかもしれない。」

アユムは、A子さんから受け取った漫画を読み始めた。また、少しだけ苦しみが和らぐ。読み終わった後に、やはり一番つらいのはテクノロジー犯罪の被害だと再認識した。電磁波シールドルームの設計図を描く、これを必ず成し遂げる。そう決意した。

ようやく来た電車の中では、とても酷いテクノロジー被害の中、不審者の群れに囲まれた。とても苦痛で長い時間に思えた。その後、ようやく家につくと、どっと疲れが戻ってきた。クーラーを入れて、体を冷やしビールを飲んだ。

スマホには、ハッピーさんやA子、他に知り合った被害者からメールが入っていた。アユムは、A子からもらった漫画を机に置き、早速電磁波シールドルームの設計について、メモを書き始めた。書いている間は、再び少しだけ気持ちが楽になり、体全体が優しい光に包まれている気がした。

2か月後、アユムは電磁波に関する専門書を読みながらも、電磁波シールドルームの設計図を完成させた。ハッピーさんのアドバイスを入れて、防振加工も加えた。製作費は、100万円とやや高いが市販のものに比べると安かった。そして、実際に自分で製作してみると、いくつかの失敗に気付いた。

それは、換気部分と、それぞれの部屋の大きさの考慮、値段の問題だった。被害者の多くは貧困にあえいでおり、お金もない。製作シールドルームは、換気部分を調整し、カーボン塗料を塗り、隙間を無くすと防御機能が高まったが、値段が高くついた。

アユムは、50万円の簡易型シールドルームと100万円の本格的シールドルームの2種類を作ることにした。製作費用はクラウドファンディングで集めた。この2つのシールドルームは、ハッピーさんの蔵の2階に置いた。

広かった蔵の二階が、4つのシールドルームで手狭になったけど、みんなは大喜びだった。アユムは次の異便のと日に、電磁波シールドルームの設計図をA子に渡した。

「これは、凄いけど…これを漫画にするのは大変(笑)」
でも、やりがいはある。新たな課題が出来て、A子は嬉しかった。
今目の前に熱中できる好きな仕事がもらえて嬉しかった。

3か月後、いくつかの修正を加えて、Aこの漫画が完成した。
アユムの設計図は、詳細だが正直、建築の素人にはわかりにくかった。
だけど、Aこのかわいらしいキャラクターが教えてくれる組み立て方は、丁寧でとても分かりやすかった。

この日の企画は、電磁波シールドルーム体験会!
ハッピーさんの家にある4つの電磁波シールドルームをみんなで体験して、その後に、アユムの設計図とA子のマンガがセットになった袋がもらえるというものだった。この企画は、とても盛り上がった。

テクノロジー犯罪被害者のほとんどが、普通の主婦やサラリーマンであり、日曜大工さえやったことがない人がほとんどだったけれど、被害者による日曜大工クラブが出来るほど、反響を呼んだ。

かつてアユムが願った。黒い雨の様な苦しみを少しでも防ぐ傘になるという思いは、ハッピーさんやA子。みんなの思いと繋がり実現された。2人の前向きな行動は、絶望に陥り虚無的になっていた一部のネガティブな被害者にも影響を与えた。

やっぱり、前向きに行動を続けていればいいことはある。その日は、みんなでお茶を飲みながら尽きない話をした。

ある被害者がいった。
「私たちは洗脳されていただけなんです。やろうと思えば、何だってできたんだ。実はぼくもシールドルームを作ろうと考えていたけど、どうせ被害者は工作に会っているし、そんなことは無理だと考えていました。だけど、こうして実現した人たちを見て、ぼくもやってみたくなりました。」
アユムは、その被害者の言葉を聞いて少し照れた。A子も嬉しかった。
その日は、残ったみんなでバーベキューをした。子連れの被害者もおり、小さな花火を楽しんでいた。
その光景を見ながら、被害初期の自分に見せたい気持ちになった。

もし、ハッピーさんが毎月のイベントを行わなければ…。
もし、アユムが電磁波シールドルームの設計図を描かなければ…。
もし、A子がそれを漫画にして、多くの人に広めなければ…。

この光景は実現しなかっただろう。私たち自身の、試行錯誤と、思考と行動の継続こそが希望だったのだ。絶望して何もしないなんてばからしい、これからもみんなで支えながら、自ら希望を生み出してそれを広げていこう。

被害者家族の、幼子がもつ小さな花火、その子の笑顔を見ながらそう思った。
この時間が終わると、再びあの地獄の様な日常が来る…。だけど、それはみんなの行動次第で和らぐと分かった。

「私たちには不可能はない、これからも行動を続けよう!」
そして、また今日みたいな楽しい日を生み出そう。そう誓い合って、散会した。アユムは、帰り道、一人夜空を見ていた。少し夢見がちの感じだった。

確かな達成感と充実感を感じていた。
星々も微笑んでくれているように思えた。

どんなに絶望的に見える状況でも、相手が人間であり人間が作ったものである限りは、必ず解決策がある。多くの人は、洗脳されて希望が見えなくなっているだけだった。希望は思い込みではなく、確かに実在した。あの星々と同じだ。
前向きで、理性的な行動の数だけ、希望の星と可能性が増えていく。

この満開の夜空のように、世界が希望で満たされたらいいのにな。
そのためでも、小さな行動を続けて行こう。加害者のテクノロジー兵器で消されたとしても、意志と作品は残っていく。もし私の身に何かあれば、星になり空からみんなを見守ろう。何も、おそれることなんてない。

これからも、それぞれが、心赴くままに自由な意志を持ち行動していけばいい。夜風に吹かれながら、気持ちが吹っ切れた。